NintendoSwitchでSDカードを認識されない故障・・・故障原因を見極めることで高い復旧率の修理方法を解説します!
2022.05.19 修理速報 Switch SDカードスロット交換 , Nintendo Switch
NintendoSwitchでSDカードが認識されないという故障端末の修理をご依頼頂きましたので、実際の修理をもとに解説していきます!
今回のご依頼のきっかけは、Switch本体の容量が足りなくなってきてmicroSDカードを使おうとして本体に差したら全然読み込まれず、SDカードが使えなかったということでご相談頂きました。
Switchに対応している新品のmicroSDカードを差しているのに本体側には認識されておらず何も画面に表示されないという状況です。
Switchの設定を開き、データ管理というところを押すとSDカードの使用状況を確認することが出来ます。
このSwitchではSDのところが「差さっていません」という表示になっています。
実際にはmicroSDカードは挿入した状態なのですが、さっきの画面でもそうだったように本体側では認識されていないようです。
たまに、microSDカードスロットの部品が外れていてSDカードを認識しないという状態のSwitchもありますが、分解して確認したところ今回のSwitchはきちんとmicroSDカードスロットの部品は接続されていました。
SDカードスロット部品も新品に交換も試してみましたが、部品を変えた状態でもSDカードを読み込まない状況でした・・・
実はNintendoSwitchのSDカードを読み込まない問題の多くは部品ではなく基板側にダメージがある事が原因で発生します。
部品を変えたのにSDカードを読み込まない・・・と直すことが出来ずに困っている修理業者さんも多くいらっしゃるのではないかと思いますが、基板側の故障箇所を探していく事で解決することが出来ます。
まずこちらの動画をご覧ください。
映っているのはNintendoSwitchの基板の一部です。
microSDカードスロットの部品を接続する、基板上にあるメス側のコネクターの部分になります。
ピンセットを使って触診している様子を撮影したものですが、今回のSwitchではコネクター上側の左から1番目と2番目の金属のピンがグラグラと動いています。
1番目のピンはわずかしか動いていないので分かりづらいですが、2番目のピンはかなりグラついていますよね。
これはピンの根元のはんだが割れていてピンがグラつくようになってしまった状態です。
経年劣化によりはんだが脆くなっているところ、SDカードを挿入してコネクターに負荷が掛かった時にはんだが割れてしまうのだと思われます。
はんだが割れたところは電気信号がうまく通らないので読み込み不良など不具合を生じます。
逆に言えば、この2本のピンにきちんと信号が通るようにさえすればSDカードをちゃんと認識するように戻すことが出来ます。
このSwitchでは本体に全く認識されないという症状になっていますが、SDカードの読込不良で差し込んだらエラーコードが出てくるというものもあります。
例えばエラーコード2016-0247の「SDカードにアクセスできませんでした。」という故障。
画面の通りにSDカードを差しなおしても同じエラーコードが発生するという故障です。
これも大まかにいえば同じ故障で、はんだ割れしているコネクターのピンの場所がさっきの端末とは違うピンがはんだ割れしていると、差し込んだことを認識はされるけど読み込みが出来ないという症状になったりします。
はんだ割れしている事はわかったけど、ではどうやって修理をするのか?というところに移っていきましょう。
ちなみにコネクターのピンは1㎜にも満たないような非常に小さな部分なので、修理をするのはそれなりに難易度が高いです。
ご家庭で自己修理をするのは困難だと思いますので、直したい場合は修理業者までご依頼頂ければと思います。
それでは修理方法を解説していきたいと思います。
今回ははんだペーストというものを用いて修理を行いました。
はんだペーストとは、はんだの粉末とフラックスという溶剤をペースト状になるように混ぜ合わせているはんだのことです。
普通のはんだは細い棒状に固まったものを対象物と一緒に加熱して溶かして扱いますが、はんだペーストは常温の状態で塗布することができ、後から加熱して固める事が出来ます。
このような感じで少量のはんだペーストを2本のピンそれぞれに塗布しました。
過剰につけすぎると2本のピンが繋がってしまうので繊細で丁寧な作業が必要になります。
はんだペーストをヒートガンで加熱して接合させていきます。
eMMCストレージの部品は事前に取り外すことと、近くにあるバックライトのコネクターなどが熱で変形しないよう部分的に耐熱テープで保護した状態で加熱を行っています。
動画では330℃・風量最低にして加熱していますが、ヒートガンによって少し違いがあると思います。
温度が高すぎると周辺のコネクターが変形してしまいますので300℃程度から少しずつ温度を調整してはんだが溶ける適温を探していくと良いと思います。
はんだペーストを加熱して接合した後、熱が冷めたらが最初にやっていた触診をもう一度行いました。
1番目2番目のピンにグラつきが無くなったことが確認できます。
これで正しく電気信号が通る状態になり、SDカードを認識できる状態になっているので、基板を戻して組み上げます。
そして、組み上げが終わり本体にmicroSDカードを差してみたところちゃんと認識してくれました!
設定のデータ管理の画面でしっかりとSDカードが認識されたことが確認できました!
これで更新データやダウンロードソフトも容量を気にせず使えるようになりますね。
ちなみに修理方法は他にもありはんだペーストを用いずに、はんだごてで修復をすることも可能です。
ですがこの方法はパターン修復などに使われる極細のこて先が必要になる事や、作業難易度を考えるとペーストを使った修復が良いと思います。
ただ、作業に適したはんだごてがあり、はんだごての扱いにも自信があるのであればそちらの方が早く修復できるので挑戦してもいいかもしれませんね。
こちらの記事は以上になります。
こういったSDカード読み込み出来ない故障の修理をご希望でしたら、当店でお受けすることも出来ますので必要でしたらご相談頂けたらと思います。
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